Vol.50　コロナワクチン接種後の治まらない肩の痛み

導入

 
新型コロナワクチンの2回の接種を国民の8割の方々が受けられました。コロナワクチンの大きな目的は、新型コロナウイルスに感染した場合の重症化の予防や感染の拡大を防ぐことです。しかし、接種するにあたって、皆様が懸念することはワクチンによる副反応です。頭痛やアナフィラキシー反応（気分不良や発熱）、全身倦怠感などが度々報道などであげられて国民の中でも認知されるようになりました。これらの症状は数日で治まることがほとんどです。この記事では副反応として非常にまれではありますが、『ワクチン接種後に続く肩の痛み』の対処法、症状と特徴、治療法、経過をご紹介します。3回目の接種後に生じる可能性もあります。ぜひ知っておいてください。2022年2月には私自身ははじめてですがコロナワクチン接種後から肩の痛みが続くために手術をおこなう予定の方もおられます。
 

症状と特徴

 
ワクチンの2回目の後のことが多い。
肩の痛みや肩があがりにくい (五十肩と訴えが似ている)
摂取部位の痛みが続く
夜間痛で寝られない
MRI検査の所見では肩関節周囲炎（五十肩）と類似（文献１）
20歳代から70歳代と年齢層は幅広い
 

治療法

 
五十肩と同じように鎮痛剤の内服や鎮痛効果のある薬液（ステロイドなど）を肩関節内へ注射
 

経過

 
期間を設けて注射を数回繰り返すことで疼痛は軽減する。ワクチン後長く症状をかかえている程、回復には時間がかかる傾向がみられる。
 

まとめ

コロナワクチン接種後に数週間たっても治まらない肩の痛みが続く方が医療機関を受診される方がおられます。的確な治療により痛みは改善しますが、経過が長いと回復に時間がかかります。2週間以上ワクチン接種後も肩の痛みが続く場合には、放置せずに医療機関に受診してみることをおすすめします（文献２）。
 

参考文献

 
１）Boonsri Pattira and Chuaychoosakoon Chaiwat. Combine subacromial-subdeltoid bursitis and supraspinatus tear following a COVID-19 vaccination: A case report. Annals of Medicine and Surgery. 2021.
 
2) Chow JCK, Koles SL, Bois AJ. Shoulder injury related to SARS-CoV-2 vaccine administration. CMAJ. 2022.