日々雑感(コラム)

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日々雑感(コラム)

このページは私の肩に対する思い、経験などの話である。
今日も肩の手術をうまく仕上げた。この患者さんもリハビリ後よくなるはずだ。
自分の肩も、自分で手術をしたかった。そう、私は右肩の関節鏡手術を受けている。
 
大学時代に投手をしていた私は、ビュンビュン直球とスライダーで力投するタイプであった。
最盛期は130キロ台の球を投げている事もあった時代が。たいしたコンディショニングの知識もなく、適当なストレッチをしては、投球を続ける。

いつしか、肩に痛みが走った。
まあ、そのうちストレッチと投球を休止し、走りこみをしたら治るだろう。
しばらく休んでいたが、そろそろ投げたくなったなあ。
投げてみよう。

しかし、球は走らない、耐え難い痛みが走る。
痛みがあることは時々あったが、まあなんとかなっていた。
しかし今回の痛みは、これまでに体験した痛みではない。
何だろうか。

野球の専門書、肩の医学書を調べてみた。
関節唇損傷ではないのか、本に書いてあることと、自分の症状があっているぞ。
手術をしたほうが、治るのではないかな。
自分の運なら手術したら、完治して、前の投球ができるのではないか。

私は、これだと思ったことは、妥協しない性分である。
とにかく、手術で治るなら、手術して、もとの状態に戻りたい。
投手という人種は自分の理想を常に追い求める人種だ。
私もそのような人種なのだ。

某肩専門医の外来を受診した。
レントゲン、MRIを受け、手術をすすめられ、親にも相談せずに、手術を受けるからと、報告だけした。
親も反対はしないが、まあ医学部生なのに、無理して手術受けなくても、という眼であった事を今でも覚えている。

手術は全身麻酔下で、関節鏡にて行われた。
肩峰形成術と、関節唇のデブリードメント、いわゆるクリーニング手術である。
思い出は、手術後の尿道バルーンをはやく抜いて欲しいという思いが強く、看護婦さんに言ったが、翌日までは、駄目と言われたことであった。鈍痛があったが、まあ耐え難い痛みはなかった。
 
早く退院したいと言って、手術後3日目で退院した。リハビリすれば、半年後は全力投球できるな。
今思えば、この過信が駄目だった。医学部5年生の夏に手術を受けたので、もう1年しかない。

リハビリは言われたメニューをして、また我流のストレッチ、本から引用したストレッチを漫然としていただけであった。
試験もあり、あまりコンディショニングの調整に専念できなかった。6年生の春から投球開始したが、理想のストレートは投げられなかった。手術からの奇跡の復活劇ではなかった。
少なくとも自分のイメージしたものではなく。不完全燃焼のクラブ生活だった。
 
時はたち、自分は整形外科の医師になっていた。
色々な疾患の手術を経験し始めて、整形外科として喜びを感じていた。

ある日、肩が痛いと言って私の外来に、ハンドボールをする高校生がやってきた。
リハビリをするも痛みが取りきれず、MRIの結果、関節唇損傷と診断。
自分が患ったこの疾患を自分で治すのか。
この疾患は、関節鏡で治すのが、通常で、スポーツ選手に従来の切開手術では、復帰が難しい。

なんとか治そう。
手術まで、その手術をしている夢を何度もみた。こんな興奮、緊張はひさしぶりだ。
結果はこの手術はアンカーを2個使用して、関節唇を修復した。
リハビリ後6ヵ月後には、この患者さんはハンドボールに復帰した。自分の患った疾患をこの手で治せた。
このことは至上の喜びである。
 
その後は、もうこの関節鏡手術の虜になっていた。
もっと手術がうまくなりたい、日々どうすればいいか考えた。
夜には、取り寄せた手術シーンを編集したDVDをみる日々が続いた。
手術は、一発完治、妥協をしない、最善の手術をその場で。
この思いを心に留め、今日も手術に向かうのである。
 

 

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2017/11/18
Vol.32 『~第9回ACASEA (Academic Congress of Asian Shoulder and Elbow Association, アジア国際肩肘学会)での講演~』
 

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Vol.32  『~第9回ACASEA (Academic Congress of Asian Shoulder and Elbow Association, アジア国際肩肘学会)での講演~』
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