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2.反復性肩関節脱臼 (6)


Q1
反復性肩関節脱臼の手術で3ヶ月で術後にコンタクトスポーツに復帰できますか?
 
A1
 非常にむずかしい問題です。反復性肩関節脱臼の手術は主に、鏡視下バンカート法とBristow法という手術が行われています。復帰を決める目安はどれだけ損傷していたか、本院の筋力の回復などが問題となってきます。ある選手は、手術後3ヶ月で復帰した、別の選手は6ヶ月、あるいは1年かかった人もいます。つまり個人差があります。そして、施設間で異なりますので、よくこの手術をしている施設のほうが復帰に関してはいい情報を提供してもらえるのはたしかです。
 一般的に、Bristow法手術(烏口突起をボルトでとめる手術)のほうが、復帰が早い傾向にあります。私も同様な手術をしていますが、術後コンタクトの練習は3ヶ月で復帰を許可した患者様もいらっしゃいます。そして、ご本人のリハビリの頑張り次第でもあります。  ここで、最近2020年にThe American Journal of Sports Medicineという整形外科領域では権威ある雑誌の4月号でFrantz先生が『Are Patients Who Undergo the Latarjet
Procedure Ready to Return to Play at 6 Months?』のタイトルで発表された論文をご紹介します。アメリカの肩手術がよく行われる6施設で行われた症例をまとめたものです。Latarjet法というBristow法に似た手術をした結果、半分以上(55%)は術後6ヶ月では筋力、可動域が完全に回復しないという報告です。45%は完全回復しているという解釈にもなります。スポーツ復帰と、完全回復は意味がちがいます。したがい、どの程度でどのパフォーマンスができるかなどは主治医とご相談されるほうがいいと思います。
 結論としては、『術後3ヶ月でコンタクトスポーツ復帰できることはあるから、諦めないでください』
 


Q2
初めて肩関節脱臼をいたしました。ラグビーを続けていきたいのですが、このまま完治するでしょうか?他の病院で脱臼後固定をするように指示され、3ヶ月たちますが脱臼しそうか感じがとれません。どうしたらいいしょうか。
 
A2
まずは靭帯がどうなっているか造影MRIなどの検査をすすめていきますが、靭帯損傷があると思われます。初回脱臼後普通はすぐにMRI撮影をしませんが、10代ではかなりの確率でバンカート損傷があります。実際にバンカート損傷があることが確認された場合には、私ならば手術をおすすめします。この病気は薬やリハビリでよくなることはないからです。
 


Q3
肩関節脱臼の手術には内視鏡の手術と、スクリューをつかう手術があるみたいですが、どちらがいいのでしょうか?内視鏡の手術では手術後肩関節がまたはずれることがよくあると聞いたのですが?
 
A3
世界中の医師の報告を見渡した結果、内視鏡手術のほうが再脱臼率は高いと言わざるを得ません。どちらがいいかというのは一長一短があります。内視鏡手術のメリットは、解剖学的修復につとめます。医学の進歩で、日本全国見渡しても内視鏡手術をされている先生のほうがおおおいとおもいます。しかし、スクリューをつかう手術は手技がむずかしく、つまり有害事象(スクリューがぬける、おれて症状がのこる、神経障害など)が発生する率が高くなります。そのことを知っていただき、担当医の先生と手術選択について話あうのがいいかと思います。
 


Q4
反復性肩関節脱臼をもっています。肩が不安定ですが、手術をする時間がありません。テーピングをして試合にでたいのですがいかがでしょうか。なんとかいけそうですか?
 
A4
競技にもよります。ラグビーでフォワードの方は試合でも怖いと言ってられました。
テーピングのこつですが、肩脱臼する方向は肩外転90度くらい、外旋90度くらいなのですが実際に試合で、そのような腕の方向にもっていくことはすくないです。バンザイするときのすこし腕をあげるくらい(外転40度くらい)にして、テープを肩甲骨から肩の前にかけてがっちりテープを何重にもかさねて腕が後ろにもっていけないくらいにするのが現実的です。なんとかそれで練習してみましょう。自分のプレースタイルで、固定する際の腕の角度を調整しましょう。あと、腹圧を高めると肩甲骨の動きが安定します。体幹強化訓練は必要ですが、試合の際には体幹にもテーピングをまくといいと思います。どちらにしろ代替治療になります。
 


Q5
2ヶ月前にスキーですごいこけ方をしたんです。脱臼でもしたかと思ったのですが病院では脱臼していませんと言われました。でも腕をあげると肩がはずれそうで上にはあげられないので近くの病院でMRIをとってもらいました。バンカート損傷がはっきりしないといわれました。でも怖くて腕が思うようにあげられません。どうなっているのでしょうか。
 
A5
バンカート損傷以外に肩の脱臼、亜脱臼をひきおこす病変として関節包断裂、HAGL(Humeral Avulsion Glenohumeral Ligament) 損傷というのがあります。上腕骨に付着する下関節窩上腕靭帯が上腕骨側ではがれる病変をHAGL(Humeral Avulsion Glenohumeral Ligament) 損傷と言います。関節包断裂とは中関節窩上腕靭帯と下関節窩上腕靭帯の間にある関節包(上腕骨をつつむ袋)がさけてしまう病変です。
 

 
バンカート損傷イラスト(下関節窩上腕靭帯や中関節窩上腕靭帯と関節唇が関節窩からはがれる病変)
この二つの病変を両方もつ、あるいはどちらかがあると、亜脱臼感、脱臼感を感じるのと同時に、自力で十分にあげられない、すこし腕をあげるだけで怖さがすぐにでるという特徴が比較的多くの方にみられます。バンカート損傷だけの方と臨床症状が違います。バンカート損傷だけもっておられる方は腕をまっすぐにはわりと怖さをかんじないであげられる方が多いです。腕を横にあげると同時に腕を後ろにもっていく(外転、外旋肢位と言います)と怖いと感じられます。
従い、バンカート損傷がないと言われても、肩が怖くてあげられないという場合には、なにか責任病巣(症状をひきおこす悪い病変)がある場合が多いことを知っておいてください。
 


Q6
肩の脱臼感がずっとあったのですが年をとるにつれてなくなってきました。このようなことがあるのですか?
 
A6
肩の脱臼感はとりきれないことは40歳ころまである方はたくさんおられます。しかし、普段デスクワークばかりで運動をしなくなると、体の柔軟性が低下していきます。脱臼感がなくなる方は、軽度の運動では脱臼する確率は減っていきます。したがい、30歳代で初回脱臼をした方では辛抱つよく待てば、反復性肩関節脱臼にならない可能性がおおいにあります。
 


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