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人工関節


Q1.
人工肩関節置換術の手術をうけました。調子がよかったのですが、最近肩の痛みがずっと続いております。手術をしていただいた先生からはレントゲン検査でとくに人工関節には問題ないから、経過をみましょうと言われました。因みに糖尿病があります。どこか問題があるでしょうか。
 
A1. 
人工肩関節の術後経過で問題ないか、一般的にはレントゲン評価が一般的です。一番念頭にいれておくべきことは感染です。感染が進行すると、人工関節周囲に骨透亮像(骨がすけてみえる)がみられることがあります。そこまでいっている場合には感染が進行しています。しかし、そのような透亮像がみられなくても感染状態にあることはよくあります。一般的には感染を疑う場合には、臨床症状としては熱発、腫脹、疼痛がみられます。疼痛は軽度の場合もあります。そして血液検査をしていきます。血液検査では白血球数、CRPをとくにみていき、他の項目も参考にします。それらの値がかなり高い異常値を認めたならば積極的に感染を疑います。しかし、人工関節の術後では白血球数、CRPの数値はかなり高いわけでないことが結構な頻度であります。感染を疑う場合、組織培養検査が参考になりますが、人工肩関節後に関節内に水がたまらないこともよくあります。我々、肩関節外科医はこのような状態では、診断に苦慮します。組織培養検査をするのには手術で人工関節周囲の組織を採取して、その組織を検査にだして陽性になってはじめて人工関節が感染していると診断がつきます。糖尿病のある方は糖尿病でない方よりも感染しやすい傾向にあります。予防としては人工肩関節をうけられて方は、健康に気を付けていただけくのが一番ですが、人工関節術後経過がよくても痛みがでてくる場合、感染がおこっているかもと知っていただく必要があります。人工関節をうけられて数年してから(遅発性感染といいます)感染がおこることもありますから、主治医の定期観察はうけることは必須です。そして、予約日までに肩の疼痛が続き、熱発(微熱でも)もあり、肩関節が熱っぽいならばご自身は感染がおこっているかもと疑ってください。肩の疼痛が続き、熱発(微熱でも)もあると主治医におっしゃっていただければ感染を疑われると思います。
 


Q2.
リバース型人工肩関節置換術の手術をうけました。手術をうけて1年たちますが,後ろに手がまわりにくいのです.もうずっと可動域はこのままなのでしょうか.
 
A2. 
リバース型人工肩関節置換術の術後,結帯動作がむずかしい,獲得が術後何年たってもむずかしい場合はよくあります.諦めてはいけないですが,円背がつよい,手術前の結帯動作がむずかしいくらい内旋可動域が悪い方は改善がむずかしいです.ただ,根気よくリハビリをしていく方で背中の真ん中まで手が届くくらい獲得できた方もおられます.肩甲骨が動きやすくなり,腰椎伸展機能が十分獲得できれば,結帯動作もできるようになります.リバース型人工肩関節は前挙動作(バンザイ)には合理的な構造ですが,結帯動作には不向きな構造であります.したがい,手術前に獲得がむずかしい可動域を主治医の先生にお聞きしておくことが大事です.
 


Q3.
リバース型人工肩関節置換術という手術があるのをお聞きしました.これまでの人工関節置換術とどのような点がちがうのですか?なぜリバースというのでしょうか.
 
A3. 
リバース型人工肩関節置換術というのはこれまでの人工関節と違い,球形の金属(グレノスフェア)が肩甲骨に固定され,球形の金属の受け皿(ライナー)が上腕骨につきます.反転しているからリバースと名付けられました.下の図を参照してください.
違いは簡単にいえば,三角筋の力を最大限利用して肩をあげます.腱板という肩の内部の腱が修復できないほど損傷がひどくても,挙上が可能となります.
 

 


Q4.
人工関節置換術で、リバース型人工肩関節置換術でなく、比較的お若いので従来の人工肩関節置換術をおすすめしますといわれました。従来のものとはなんでしょうか。なぜ従来のほうがいいと言われたのでしょうか。
 
A4. 
おそらく従来の人工関節とは全人工関節置換術と思われます。 下の絵をみてください。
肩の骨のイラストです。
 


そして上腕骨には肩甲下筋腱、棘上筋、棘下筋、小円筋という腱が上腕骨を覆っています。この絵は肩を横からみた絵で、左肩になります。
 

 

 
全人工肩関節置換術は従来の関節により近い形をしています。従来の関節は、通常腱板という腱がしっかり上腕骨についています。XXさまの場合は、悪いとこが上腕骨頭と肩甲骨の関節窩というとこだけなので、そこを置換して、腱板がしっかり機能することが見込まれるからです。関節窩の形がゆがみすぎている(変形しすぎている)と、全人工肩関節置換手術ではいい結果にならない可能性が高くなります。しかし、関節窩の形も比較的ゆがみが軽度なのだと思われます。私自身、手術、リハビリがうまくいき、腱板がしっかり働くのであれば、最終的には全人工関節置換術のほうが、使いやすい方、可動域、力の入り具合などは、リバース型人工肩関節置換術の成績よりよいと思います。
 しかし、どの手術がいいかというのは、年齢や、XXさまのニーズ、骨や腱の状態などを含めて判断されます。どのような治療にもメリット、デメリットがありますので、その点をご理解ください。

 


Q5.
人工関節置換術は若いので手術適応なのでありませんと他院で言われました。でも昔、肩の骨折に対して手術せずに治療をうけたのですが、もうずっと肩はあがらないし、痛みはとれません。手術をうけたいのですが手術はできないのですか。
 
A5. 
病状が悪く、人工関節をうけることで一番症状がとれるのであるなら手術適応になる場合はあります。今は、医学が進歩しました。肩の人工関節も10年以上大丈夫である(人工関節にがたがこない)場合もでてきました。人工関節は肩の機能が完全にもどることは大変難しいです。しかし、状況を大きく変える可能性はあります。諦めないでください。
 


Q6.
肩人工関節置換術はリバース型人工肩関節置換術と全人工肩関節置換術に大きくわかれるとお聞きしました。どちらの手術がいいのでしょうか。
 
A6. 
むずかしい判断ですが、手術内容とリハビリがうまくいくならば、全人工肩関節置換術が機能的にはすぐれます。ただし、高齢者(75歳以上)の方では、腱板治癒能力がおとります。手術で人工肩関節を挿入するため腱板をいったん切離しますが、それを修復します。修復した腱板が再断裂すれば治療成績は悪くなります。リスクを考えると、高齢者の方ではリバース型人工肩関節置換術がある程度良好な成績がみこまれます。
 


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