5.肩鎖関節脱臼 (2)
Q1
スノーボードで右肩を強打して,救急搬送された休日診療所でレントゲンをとりましたら肩鎖関節脱臼と診断されました。そこの先生には、『しばらく固定をしていたら痛みとれてくるから手術しなくていいよ。地元の病院に紹介状を書いておくから』と言われましたが、鎖骨がかなり浮いているのがわかります。怪我をして5日ですが痛みはだんだんよくなりました。このまま手術しないでいいでしょうか。
A1
肩鎖関節脱臼は手術適応が施設間、医師間でもわかれる疾患です。重労働でないかた、オーバヘッドスポーツをしない方は保存療法でも生活であまり困らないレベルにはなります。鎖骨がかなり浮いている場合には、医師間では手術適応であろうといわれています。
10日ほどで肩の痛みがとれ、動くようになってきた場合は手術をしなくても、疼痛コントロールと運動療法で日常生活に困らないレベルにはほとんどの方が至ります。しかし、重労働の方、オーバーヘッドスポーツの方は大きな動き、重量物運搬、肩をかなりあげたときや、反対側の肩をさわろうとする動きのときに肩鎖関節周囲に痛みがはしりやすくなります。したがい、重労働の方、オーバーヘッドスポーツに支障がきたすことになります。したがい、重労働の方、オーバーヘッドスポーツの方で、鎖骨がくっきり浮いているくらい肩鎖関節脱臼している方は手術をおすすめします。肩鎖関節脱臼は脱臼の程度と、上肢をどれくらい動かすことが多いかで予後が違いますので、そのことを知っておいてください。
Q2
肩鎖関節脱臼と診断されましたが、手術をしなくても困らないと最初にみてもらった先生にいわれました。鎖骨がくっきり浮いているのですが大丈夫でしょうか?
A2
肩鎖関節脱臼は手術適応が施設間、医師間でもわかれる疾患です。重労働でないかた、オーバヘッドスポーツをしない方は保存療法でも生活であまり困らないレベルにはなります。鎖骨がかなり浮いている場合には、医師間では手術適応であろうといわれています。
というのは標準的な見方です。むずかしいのは鎖骨遠位が突出して、数ヶ月たっても痛みが残る方がおられます。
このことから、私は鎖骨が突出しすぎる肩鎖関節脱臼になられた方には手術をおすすめします。